いちゃもんスローライフ

地球の声を聞きませんか

日記

在ること Ⅱ

ここ数年で三人の親を看取った。その最後は様々だったが残された家族のうちの二人のその後が痛々しくて(苦々しいのほうが妥当かな)対応に困ることがある。それは実母と姉のこと。二人は父亡きあと二人で暮らしている。姉に子供が無かったので古い家系の跡取りとしては父親にしては不適格な出戻り娘という立場であった。母親は実にお嫁さんとしては誰もが認めるように働き者で堅実で人情も厚く、倫理道徳に反することのない姿を見せてくれた。色々と歴史的に背負うものも多かった家系の嫁として同じことができる人は皆無ではないかと思う。それほどの苦労人であることには違いないのだが、父は最後まで母や姉に「ありがとうな、後を頼むぞ」と一言も残さなかった。それを言われたのはうちの家族だった。父にとっての孫であるうちの息子たちを呼んで手を握りながら真っ直ぐ向き合い、失明しかけた目を凝らして見つめ遺言を一人一人に語った。私にも夫にも同様の遺言を残した。父は人物としては評価は高くないかもしれないが常人には理解されない徳があった。それゆえに孤独な人生だったかも知れない。さて、父が生きている間は良好だった母親との関係がその遺言の一件で完全に崩れた。遺産分割協議の席を設けず私を除外し強引に二人が財産を相続した。意気揚々と姉は急に張り切り出した。何かにつけて姉は私と比較している様子があってその奥底に嫉妬が渦巻いているのが感じられた。それまで母には感じなかったが次第に湧いて出てきたのか姉の情に共鳴してしまったのか「どうしてお父ちゃんとあんたは仲が好かったんだろう」に始まり「一言でも苦労を掛けたなと言ってほしかった」とか「苦労かけたな、ありがとうなと言ってくれたら報われたのに」などと語るようになっていった。「一番苦労したのは私なのに、なんであんたを気に入ってたのか分からない」「私にあの日あの時親不孝したあんたに先祖様に愛される資格はない……」のような情念を向けてくるのだった。

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