いちゃもんスローライフ

地球の声を聞きませんか

日記

北の地

四十年近く前になるが進学相談の場で教師に希望進路先を記入した調査票を見ながら「どうしてこんな所にわざわざ行きたいって思ったの」と尋ねられた。そこには北海道の田舎の短大を二番目くらいに書いていたのだと思うが先生にとっては意味が分からなくて「正気なのか」位の謎だったのだと思う。それに対してどう答えたのかは曖昧だが「縁もゆかりもない遠い自然の豊かな所で自分の人生を見つめなおしてみたいから」云々と答えたとおもう。一般企業に勤めた後に教師になった先生でどこか頼もしかったことを記憶している。表立った深い事情はなくて説明のしようもないが上昇志向はなくて本質的な生き方を見つめるが故の悩みを抱えているらしいことは伝わったようで「まだまだこれからって時に、頑張れるのにね」みたいに静かに終わった気がする。生家は豊かな自然もありながら結構な地方都市の中心街に徒歩でも行ける距離にあった。さらに田舎に向かおうという人はなかったし、殆どは東京方面への進学を希望する学生が多かった。先日、知人が北海道のお土産を届けてくださってそれ以降はラベンダーや向日葵畑の風景が蘇ってきて意識がそこに引き寄せられているのか、昔のことまで思い出されたようだ。

高村幸太郎の智恵子抄で、智恵子には東京には本当の空がないという……などと言う一説があったのに長年引っかかっていて、忘れたころに思い出す。安達太良山の上にある空が本当の空らしいがどんな空だっていうのだろう、とその度にしばらく考える。その土地特有の雰囲気があるものでそれを感じ取っているのは人間なわけで何を見てどう映っているかはその本人にしかわからないものがある。もしかしたら特定の人のみに現れる世界があるかも知れないと考えたりする。

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